富士山に登る際には事故に注意しないといけない。通常の環境と異なり、思わぬ事故に見舞われるかもしれない。過去に起きた例を確認したいと思う。
直近に起きた痛ましい事故
つい先日の2019/5/10スノーボードをしていた男性の死亡が確認された。
富士山で遭難、遺体収容 群馬の男性、スノボ中に(毎日新聞)
家族からの連絡でヘリコプターで捜索され、山梨側の8合目付近で発見。拡声器で呼びかけるも応答がなく、翌11日にスノーボードをつけたままの状態で死亡が確認された。
そもそも富士山でスキーやスノーボードをすることは禁止されているようです。
2015/03/18、スキー・スノーボードによる滑走を禁止するとの報道があり、ネット上で大きく広まった。
ただし、よく読むと『原則禁止』であり「充分な技術・経験・知識としっかりとした装備・計画を持った者の登山・スキー・スノーボードは妨げるものではない」とのこと。
今回の事故は、群馬県沼田山岳会の会員だったらしくまったくの初心者ではなかったと思われる。
それでも起こるのがこのような事故。
過去の事故
少し古いデータではあるが、富士山遭難記録表(1978)という論文をみてみる。
遭難地点として、吉田大沢、ツバクロ沢、不浄流しなどの名があがる。
参考)沢の名は国土交通省・富士砂防事務所サイトを参照。
吉田大沢は北斜面にあり、西斜面の大沢崩れに次ぐ大きな沢。山梨側からみると吉田大沢(日本地質学会関東支部より)が富士山の山肌を大きく削っているのがうかがえる。
山頂から吉田大沢へと至る落石事故で過去に大惨事が起きた。
1980年8月14日午後1時50分ごろ、富士山の山頂付近で落石が発生。死者12人、負傷者は29人、国内の落石事故史上最悪の惨事となった。…落石は、頂上の久須志岳付近の岩場で二度にわたり発生…直径1~2mの巨石5~60個が左右に広がりながら一直線に滑り落ち吉田大沢に向かった。(Wikipediaより)
この事故のことはよく覚えている。
実はこの事故が起きる11日前の1980年(昭和55年)8月3日、小学生のとき富士山に登ったのである。当時、天候が悪く山頂まで行けなかったが、自分が登った吉田ルートの下山道で起きた大惨事に衝撃を覚えた。
屏風尾根と吉田口(スバルライン5合目)登山道の間にある吉田大沢は、かつては吉田口の下山道だったが、1980年(昭和55年)の落石事故により、閉ざされたとのこと。
最近の事故
平成30年における富士山(静岡県内)の事故は68件。うち死亡者は5人だった。
山岳遭難事故の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足等が原因で発生している…
気象条件、体力、体調、登山の経験等に見合った山を選択し、登山コース、日程、十分な装備、食料等に配意し、余裕のある安全な登山計画を立てる。
計画を立てるときは、滑落等の危険箇所や、トラブル発生時に途中から下山できるルート(エスケープルート)等を事前に把握する。
また、登山予定の山の気候に合った服装や登山靴、雨具(レインウェア)、地図、コンパス、行動食等登山に必要な装備品や、万が一遭難した際に助けを呼ぶための連絡用通信機(携帯電話、無線機、予備バッテリー等)を準備する等、装備を万全に整える。
危険箇所の把握はまだ十分でない。
もう少し調べてみたいと思う。
静岡県警察 平成30年における山岳遭難の概況(平成30年中)
山梨県警察 山岳情報